皆さんの団体ではITベンダー(外注業者)とお付き合いがありますか?
ITベンダーと言うとITという得体のしれないものを扱う、得体のしれない会社と考えているかもしれません。しかしこれからのNPOはより多くの社会課題により早く取り組むことが求められており、そのためにうまくITを活用していかなくてはなりません。そのためITベンダーとの付き合いは避けて通れない時代になってきています。
かくいう私も以前はITベンダー(いわゆるSIer)に勤めていたことがあります。その時の経験も合わせてITベンダーとどのように付き合っていったら良いのか、ということを考えてみます。
目指すべき関係
まずNPOとITベンダーとの関係ですが、NPOから見てITベンダーは長期に渡って良きパートナーである、と言える関係が理想的だと思います。
もしITベンダーと短期的な関係しか築かない、つまりシステムやインフラに構築、改修のたびにITベンダーを変えていたとしたらどうなるでしょうか。その都度、ITベンダーと関係を構築し、団体のことを説明し、業務を説明し・・・と膨大な時間と手間が掛かってしまいます。新しいベンダーが今後本当に団体にとって良きパートナーになり得るのかどうかも不明です。
長期に渡って良きパートナーであるならば、ITベンダーは次のような状態にあるはずです。
- 団体(の担当者)と信頼関係が築けている
- 団体の経営方針、戦略、業務内容、システムのことをよく知っている
- 団体から十分な利益をあげることができている(必ずしも金銭とは限らない)
このような関係を築くためにはどうしたら良いのか、以下にまとめました。
コミュニケーション
当たり前すぎることですが、やはりコミュニケーションが何より大事です。個人対個人の関係でも言えることですが、お互いの考えを相互伝えて理解しあうことは必須です。誰だってよく知らない、得体のしれない人とは付き合いたくないですよね。
と言っても「仲良くなりましょう」「友達になりましょう」と言っているわけではありません。(仲良く、友達になってもいいのですが)
重要なのは次の3点を満たすコミュニケーションです。
- 同じ目的意識を持てている
- 同じ絵を描けている
- 上記2点を継続するための仕組みがある
抽象的なので具体例を用いて補足説明します。
例えばこのような団体があったとします。
そこでこの団体は次のような目標を立てたとします。
- 今後増え続けることも見込み、大量の寄付者でも十分に扱えるようにする
- 通年での集計が簡単にできるようにする
- 複数人が同時に意識することなく扱えるようにする
- 寄付者のデータをセキュアに管理できるようにする
この目標を達成すべく、とあるITベンダーに依頼することになりました。ここでITベンダーに伝えるべきは、当然上記の4つの目標です。
1つ目の「同じ目的意識を持てているか」ということについてですが、もともと団体に何らかの目的があり、それをサポートするためにITベンダーは存在するはずです。
「寄付者を適切に管理する」という目的があり、その達成するためにITベンダーがデータベースの導入を支援する、といったことです。
ところが団体の話を聞いて、設計を進めるうちにITベンダーは(場合によっては団体も)データベースを導入することが目的となってしまうことがよくあります。
データベースを導入したはいいが、以前よりも管理の手間が増えてしまい「寄付者を適切に管理する」という当初の目的から外れてしまったら