こんにちは、中川です。
スモールスタート
RPAを導入するとなったとき、
- どの製品を購入すれば良いのか
- どの業務にRPAを適用すれば良いのか
- どんな体制で臨めばよいのか
など、分からないことばかりだと思います。
それはそうですよね。初めて取り掛かる仕事は何だってそうだと思います。
ですのでRPAを導入するときはスモールスタートで始めることが当たり前のように言われています。
1. ”ちょっとだけ”やってみる
高い製品を購入し専任の組織を立ち上げたまでは良いが、様々な理由で思ったように進まず結局RPAの導入に失敗する、という話は残念ながら時折耳にします。
そうならないために、まずは
- コストをあまりかけずに
- 時間もあまりかけずに
- シンプル、かつあなたの熟知している業務で
試してみることが重要です。
そうすることで、
- その製品の特性
- RPAに向いている業務、向いていない業務
- ロボットを開発するとはどういうことか
- ロボットを開発するために必要なスキル、時間
など様々なことが見えてきます。
もちろんRPAコンサルに聞くことでも知見は得られますが、自分たちの肌感覚として得られることの意味は大きいです。
そこで得られた知見を次に活かしながら進める、つまり一般的な言葉で言うと「PDCAをまわす」ことこそスモールスタートの意義なのです。
非常に慎重に時間をかけてRPAの導入を検討されている場合もあります。
これは決して悪いことではなく、むしろ何事もしっかりと計画を立てることは重要です。
が、一方で「拙速は巧遅に勝る」という孫子の言葉にもある通りビジネスではスピードも重視されます。
初めてRPAを導入する場合は特にスモールスタートしてみて、トライ&エラーを繰り返すことで
結果的に早く成果に結び付けることができることが多くあります。
最近のRPA製品は無料トライアル版を用意しているものが多くあるので、ぜひ活用すべきでしょう。
2. 見切り発車しない
スモールスタートすることと見切り発車は異なります。
小さく始めるとしても無計画に始めるのはおすすめしません。
スモールスタートする場合でも次のことは事前に調べておいた方が良いでしょう。
- 検証する内容・観点
- 検証期間
- 想定される課題、期待効果
- 最初の段階でRPAを適用する業務
- 無料トライアル版の有無
など。
小さく始めて大きな成果を出すためにも事前準備は怠らないようにしましょう。
3. スケールすることを想定しておく
スモールスタートする場合、あまりコスト、時間をかけないためいきなり大規模向け製品を導入することは躊躇われると思います。
そこで大抵は無料トライアル版は低価格な製品で始めてみることになります。
ここで忘れてはならないのが将来スケールすることを考慮するということです。
つまり、最初は少人数で始めてロボットの数も少ないが、将来的には携わる人数もロボット数も増えることを想定しておかなければなりません。
何でもそうですが、携わる人数が増えれば増えるほど組織としての管理が重要になります。
またロボットの数が増えると、こちらも同じくロボットをしっかり管理することが大切で、そうしないと野良ロボットがあふれてしまいます。
いずれも簡単に解決できる問題ではなく、ここでは深入りはしません。
スモールスタートしやすい製品
製品を選定する場合も将来スケールすることを考慮しておかなくてはなりません。
安易に低価格な製品を導入したはいいが、後になってロボットが増えて管理に時間・工数をかけるようになってしまってはトータルコストの面で失敗と言わざるを得ません。
そうならないために製品を選定する際にも将来スケールする可能性があることを検討のポイントにしておくべきです。
最初に導入しやすい製品としてはいわゆるRDAと呼ばれるデスクトップ型の製品でしょう。
デスクトップ型の場合、一般的には製品がインストールされたPCでしか稼働状況を確認することができません。
そのため複数台のPCでロボットが稼働していると、
・どのPCでどのロボットが稼働しているのか
・どのシナリオで稼働しているのか
・正常稼働しているのか、エラーになっているのか
といった情報を一元的に把握することが難しいのです。
インストールされたPCやロボットの数が少ないうちはさほど問題になりません。
しかし数が増えてくると管理が大変なのは想像に難くないでしょう。
一方でサーバが管理型の場合、デスクトップ型のような問題が起こりません。
なぜならサーバで一元的にロボットを監視・監理しているためです。
ですがコスト面では一般的にデスクトップ型に比べると値が張ります。
そのため必ずしもスモールスタートに向いているとは言えません。
最近はデスクトップ型からサーバ型へと移行しやすい製品が出てきています。
- UiPath:最初はデスクトップにインストールするだけで使用開始できるが、後でUiPath Orchestratorを導入すればサーバ管理できるようになります。
- WinActor:これもデスクトップにインストールするタイプですが、Win Directorを使うことで管理・統制が可能になります。
- WinAutomation:WinAutomation自体はデスクトップインストール型ですが、WinAutomationで開発したロボットを上位版であるProcess Robotにそのまま移行することでき、サーバ管理できるようになります。
他にも最近だとクラウド型のRPA製品も出てきています。
上記のような製品はデスクトップ型でコストを抑えてRPAを使い始め、将来的な拡大にも対応できる仕組みを備えており
まさにスモールスタートに向いていると言えるでしょう。
仕事に失敗は付きものです。しかし失敗をいかにうまく次に繋げるかがビジネスでは重要です。
RPAを導入するときも失敗を恐れずに勇気を持ってスモールスタートしてみましょう。